シラバス照会 照会
2013年度
授業科目名 [大阪]浪花のコミュニケーション(通年)
読替え科目 [地域]浪花のコミュニケーションⅠ+Ⅱ
備考 平成22年度以前入学生のみ
担当者 新宮 潔
開講時期 通年 単位 4
サブタイトル
大阪ことばをコミュニケーションに生かそう
ひとことガイド
大阪弁とひと口に言うても河内弁、泉州弁、船場言葉、神戸弁を含む広義の関西弁などがその中に取り入れられてます。まずは、多様な関西弁の世界に足を踏み入れてみることから始めまひょ。
授業の概要
大阪探究コースの講義科目として、大阪ことばを対象としながらも、多方面から言葉について考えを巡らせます。その対象を日本から関西、そして大阪へと絞り込んでいくと、やっぱり京阪神間と大阪の関係を見逃すわけにはいかへんと考える次第です。「共通語(標準語)」と言われる御用ことばに、むかしは「上方」と呼ばれとった大阪ことばのニュアンスを加えたら、どんだけ表現に広がりと細やかさが増すもんやろか。受講者と一緒に考え、実践してみたいと思うてます。現在の電波メディアにあふれてる「いわゆる」大阪弁とは、一味違う「浪花ことば」の可能性を確かめるため、大阪ことばを用いた芸術作品(劇・小説・映画・ドラマなど)を取り上げて、具体的に論じます。とくに古典芸能としての文楽や上方落語にも目を向け、大阪言葉にまつわる歴史の視点を大切にしたいと思うてます。
 ある大阪生まれの男いわく、「大阪弁が使いええのは借金の取立や喧嘩のときだけやありまへん。気持ちようものを買(こ)うてもらうのにもええ言葉でっせ……」。相手の気持ちをやさしく労りながら気持よう金を使うてもらう、そんな魔法のことばの使い方について一緒に考えてみよやおまへんか?
授業の到達目標
人と人のコミュニケーションに大阪の言葉・関西の言葉がどのように生かされるかを考え、具体例に触れながら実践を試み、これを日常の言語生活に生かせるようになることを目標とします。生まれ育った土地のことばを大切にする努力を、自然な習慣として身につけることが求められます。
授業計画
【前  期】

1 大阪とは?
2 「コミュニケーション」とは?
3 日本語と方言
4 「母語」としての方言
5 大阪弁は河内弁?
6 「大阪弁」ではなく「大阪ことば」
7 浪花のことば文化・大阪弁色々─摂津
8 浪花のことば文化・大阪弁色々─河内
9 浪花のことば文化・大阪弁色々─和泉
10 京阪神事情─京都・関西弁色々―京ことば
11 京阪神事情─神戸・関西弁色々―神戸弁
12 京阪神事情─阪神間・関西弁色々―阪神間のことば
13 京弁と「船場ことば」
14 大阪弁と「船場ことば」
15 浪花の文化仮想体験─街に出よう!(北船場編)


【後  期】

1 浪花と異文化・大阪ことばと共通日本語
2 浪花と異文化・大阪の商いと関東の営業
3 浪花と異文化・関西風味と関東の味
4 浪花の異文化・大阪商法とことばパワー
5 浪花の異文化・国際商業都市の大阪弁
6 大阪とアジア
7 大阪と京都
8 大阪と神戸
9 阪神間と大阪
10 大阪文化を見直そう
11 古典芸能の中の大阪(上方漫才の世界)
12 古典芸能の中の大阪(上方落語の世界)
13 古典芸能の中の大阪(文楽世話物の世界)
14 古典芸能の中の大阪(文楽時代物の世界)
15 浪花の文化仮想体験─街に出よう!(南船場編)
成績評価基準
受講者には前期末レポートの提出と学年末の試験を受けてもらいます。言語文化についての知識と理解、その内容が大阪および関西固有のことばと文化について十分に考察され、自らの考えを説得力ある形で表現できているものであるかどうかが評価の規準となります。出席はデータとして毎回取ることになりますが、成績評価の対象にはなりません。
成績評価方法
成績は試験の答案内容を配点に基づいて評価し、A・B・C・Dに判定します。
教材

種別 著者 書名 出版社 出版年
テキスト 山下好孝 関西弁講義 講談社 2009
参考文献 松本修 全国アホバカ分布考 新潮社
参考文献 藤本義一・丹波元 大阪人と日本人 PHP文庫
参考文献 三田純 大阪弁のある風景 東方出版
参考文献 大谷晃 大阪学・続 大阪学 新潮社
参考文献 尾上圭介 大阪ことば学 創元社
参考文献 田辺聖子 大阪弁ちゃらんぽらん 中央公論社
参考文献 田辺聖子 ほっこりぽくぽく上方さんぽ 文春文庫
参考文献 牧村史陽 大阪ことば辞典 講談社
参考文献 前田 勇 大阪弁 朝日新聞社
 
学習上の留意点
 まず、日常生活上の「言葉」にアンテナを張り巡らせ、あなたが使っている言葉や家族・友人たちが使っている言葉とその人たちの文化背景に注目してみて下さい。テレビや映画を見るときや漫画や小説を読むときにも、そこに登場する人たちの言葉や演じている俳優さんたちの文化的な背景を考えながら見て下さい。授業の性質上、音声・映像資料を多用します。資料上映中を含めて、授業中の私語を厳禁します。
 上記テキスト、参考文献、および授業中に紹介する文献資料から関心の持てそうなものを読んでおくことが望まれます。
授業準備
大阪弁や関西弁の用いられる小説を読んでおきましょう。作家名を挙げると、織田作之助、山崎豊子、田辺聖子、宮本輝、東野圭吾、また司馬遼太郎にもそんな作品があります。詳しくは図書館で実物を手に取ってみてください。