シラバス照会 照会
2022年度
授業科目名 経営統計論Ⅱ
担当者 孟 哲男
開講時期 後期 単位 2
サブタイトル
複雑な経営事象の関連を読み解く
科目の概要
経営上に遭遇する多くの問題は複数の要因をもつ複雑な事象です。これらの事象の理解には統計解析に多用される多変量解析法を用いる事が不可欠です。「新規に出店を計画したい」などの企業活動に対処するには多くの要因を考慮することが必要です。このように、多くの要因が複雑に絡む経営上の問題を解きほぐすにはどうすればいいでしょうか。多変量解析はそれらの解決に役立つ数理的な手法の一つです。それらの手法を具体例をもとに解説します。
授業の進め方
本講義では、最初に記述・推測統計学の復習・確認を行い、次に複数の変数の関連性を読み取る多変量解析法についてのべます。重回帰分析、主成分分析、判別分析、因子分析、数量化法などの手法を主として取り扱います。これら諸手法の理論的な基礎を説明し、応用問題として実際例をもとに解析します。実際の解析はパソコンにて統計解析ソフトSPSSやエクセルの統計機能の併用により、複雑な問題の解析をより身近なものとします。
授業の到達目標
①経営統計の基礎的な概念を理解する。
②多変量解析の主要な手法を理解する。
③さらに定量的な立場より経営戦略を策定できる能力の育成に取り組む。
④パーソナルコンピュータを活用し、大量のデータを迅速かつ正確に統計処理を行う能力を習得する。
授業計画
【後 期】
1 統計解析ソフトSPSSの基本操作について
2 統計解析ソフトSPSSのグラフ機能などについて
3 基本統計量、分散および偏差などの求め方について
4 相関分析および単回帰分析の手法について
5 多岐にわたる多変量解析の諸手法の概説
6 原因と結果を知ることに重点を置いた重回帰分析の手法
7 実際例をもとに、重回帰分析を行ったデータ予測の手法
8 多変量を集約しまとめる主成分分析の考え方の概略
9 実際例をもとに主成分分析を行ったデータ解釈の視覚的手法について
10 データの背後に潜む原因を探る因子分析の概念
11 実際例にて因子分析を行い、複雑な現象を単純な因子で理解する手法について
12 グループの明確な判断区分を探す判別分析の基礎概念
13 実例にて判別分析を行い、データ区分を数学的に明確にする手法について
14 非数値データを取り扱う数量化理論について
15 実例をもとにした、数量化理論Ⅰ類およびⅡ類による解析

成績評価基準
①記述統計学の基礎を理解している。
②推測統計学の基礎を理解している。
③多変量解析の基礎を理解している。
④多変量解析を具体的な問題に応用できる。
⑤以上の内容を経営統計の観点から活用できる。
定期試験
学年末定期試験:なし
成績評価方法
講義の理解に関連する演習課題を解き、ほぼ毎回提出を求めます。
成績評価の配点は、
①個別課題(70%)
個別課題では授業計画に基づいた多変量解析の基礎的理解の度合を確認します。
②総合課題(30%)
総合課題レポートでは多変量解析の概念を応用できる能力が育成されているかどうかを確認します。
教材

種別 著者 書名 出版社 出版年
参考文献 石村貞夫・劉晨・石村光資郎著 やさしく学ぶ SPSSでやさしく学ぶ多変量解析(第5版) 東京図書 2015
参考文献 内藤統也監修 秋川卓也著 文系のためのSPSS超入門(新装版) プレアデス出版 2012
参考文献 岩井紀子・保田時男著 調査データ分析の基礎―JGSSデータとオンライン集計の活用 有斐閣 2007
参考文献 米谷学著 7日間集中講義! Excel回帰分析入門―ツールで拡がるデータ解析&要因分析 オーム社 2018
参考文献 涌井良幸・涌井貞美著 実習 多変量解析入門―Excel演習でムリなくわかる 技術評論社 2011
教材:電子媒体およびPDF文書の形態で、参考教材を随時提供します。参考文献も必要に応じて提示します。
準備学習(予習・復習)等
講義内容の円滑な理解を得るために予習および講義で行った演習問題の復習を毎回必ず行ってください。
受講における注意点
パソコンを用いて、教材と統計データを視覚的に表現することでより経営統計論の手法、特に多変量解析の手法を容易に取得できるように企図しています。
エクセルなど表計算ソフトの使用に習熟していることや本講義の基礎的内容としての「経営統計論Ⅰ(前期)」の受講・理解を前提とします。また、行列・行列式など線形代数の基礎概念や微積分の基本的理解は多変量解析の手法の理解に不可欠です。関連する、数学科目の講義を事前に受講されることを特に希望します。コンピュータを用いた実習の都合により、受講者人数の制限を行います。