シラバス照会 照会
2013年度
授業科目名 [大阪]大阪と文学(通年)
備考 平成22年度以前入学生のみ
担当者 石上 敏
開講時期 通年 単位 4
サブタイトル
大阪という地域の特色ある文学のもつ、さまざまな要素を理解する
ひとことガイド
大阪の文学は、他の地域に比べて独自の特色があると言われている。では、どのような点が独特なのか。具体的な作家や作品を通して考え、大阪の特色は、どのような歴史的、また地理的な背景から生まれてきたものなのかを学んで行きたい。そして、「大阪」と「文学」双方への理解を深めて行く。
授業の概要
「大阪ブーム」と呼ばれ、大阪が注目を浴びている。その中心にあるのは、吉本興業や松竹芸能を中心とした芸能(お笑い)であるが、それらは広い意味での「文学」に含まれる。
この講義では、漫才や落語などを含んだ、広い意味での「文学」について、大阪を中心に考えて行きたい。
そのためには、まず「大阪」という地域が、他の地域と異なるどのような特色を有しているのか、そのような特色はどのようにしてこの地域に根づいたのかを知る必要がある。
本講義では「大阪」という「地域」の特色を学び、それらの知識を基に、大阪を代表する作家や作品を通して「文学」を学んで行く。
授業の到達目標
「大阪」という「地域」の特色と、そこに生まれる「文学」について理解する。
大阪を代表する作家と作品、そして作家同士の関わりについて理解する。
「大阪」だけではなく、自分がかかわる「地域」と、今後どのような関係を築いて行くことができるか、そのことを考える上でのヒントをつかんで行く。
授業計画
【前  期】

1 講義の方針説明
2 大阪文学を代表する作家たちⅠ
3 「天下の台所」と「食い倒れ」
4 「御厨栄町」は「天下の台所」
5 「食いもん」と大阪文学
6 織田作之助『夫婦善哉』
7 上司小剣と『鱧の皮』
8 林芙美子と『めし』
9 「粉もん」と大阪の拡大
10 「大大阪」と「東洋一」
11 大阪の発展と「水の都」の消失
  宮本輝『泥の川』『道頓堀川』
12 大阪はなぜ日本最多の空襲を受けた 
  開高健『日本三文オペラ』
13 大阪文学と直木三十五賞の関係
14 大阪文学を代表する作家たちⅡ
15 前期の総括と試験の説明


【後  期】

1 前期の確認と後期の方針説明
2 東大阪に住んだ直木三十五
3 直木三十五と芥川龍之介
4 直木賞・芥川賞の創始者
5 直木と芥川、そして宇野浩二
6 東大阪で教員をした宇野浩二
7 大阪樟蔭女子大学と田辺聖子
8 東大阪名誉市民・司馬遼太郎
9 司馬遼太郎を支えた栗林書房
10 大阪の文学と漫才・落語・新喜劇
11 東大阪で生まれた近代漫才  
12 古典芸能の源流「能」と東大阪
13 「水の都」と「八百八橋」
14 大阪文学の将来を展望する
15 後期の総括と試験の説明
成績評価基準
大阪の文学(その歴史的な流れと特色)について、深く理解しているか。
大阪の文学を特徴づける、大阪という地域の特色について理解しているか。
地域と自分とのかかわりについて、積極的に考えることができているか。
成績評価方法
講義への積極的な取り組みを評価の対象とする。
その結果としての試験の点数によって評価する。

試験(記述式問題)前期50% 後期50%
教材

種別 著者 書名 出版社 出版年
テキスト 橋本寛之 都市大阪 文学の風景 双文社出版 2002
参考文献 若一光司 大阪地名の由来を歩く KKベストセラーズ 2008
参考文献 日本近代文学会関西支部大阪近代文学事典編集委員会 大阪近代文学事典 和泉書院 2005
参考文献 中沢新一 大阪アースダイバー 講談社 2012
テキストは、橋本寛之著『都市大阪 文学の風景』を用います。
この他に、プリントを配布します。上記の参考文献以外の参考文献は、講義の中で指示します。
平成22年度以前以前入学生は通年科目となりますので、1年を通じてテキストをよく読んでください。
学習上の留意点
講義への取り組みの姿勢を評価します。充実した自筆ノートを作成してください。
講義中に周囲と無駄話をするなど、まじめに取り組むつもりのない学生は、この講義を履修しないでください。
「大阪と文学」を受講している期間は、いつも以上に「大阪」と「文学」に興味を持ち、「大阪」の特色を発見してほしいと思います。
授業準備
プリントは捨てずに保管し、ノートとともに試験対策に役立ててください。