シラバス照会 照会
2013年度
授業科目名 経済法(通年)
担当者 衛藤 祐樹中世古 裕之
開講時期 通年 単位 4
サブタイトル
経済・取引分野の法律に関する基本的知識を習得する。
ひとことガイド
経済・取引分野における基本的な法律である知的財産法(前期)及び独占禁止法(後期)を学習します。それぞれの法律の趣旨、条文の要件・効果等の内容、法解釈論、裁判所の判例等を解説します。各法の具体的な規定の知識を通じて、法的思考(リーガルマインド)を学習してください。
授業の概要
前期では、特許・実用新案法、意匠法、商標法、著作権法その他の知的財産(工業所有権、知的所有権などといわれることもあります)法制度を講義します。知的財産法を初めて勉強する学生のために、同法領域に属するそれぞれの法制度の概念・意義や具体的内容、法律要件や法律効果等をできる限り平易に解説します。 
また、現代の企業社会において、知的財産がどのような役割をはたしているかを「知財戦略」「知財経営」等のキーワードととも紹介していきます。
後期は独占禁止法を学びます。独占禁止法は、資本主義の市場経済において、私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法の禁止等により、公正かつ自由な競争を促進し、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とした法律です。同法は、企業活動と密接に関わり合うと共に、事業のありように大きな影響を及ぼす法分野といえます。独占禁止法に限らず、社会で法律がどのように適用されるのかという基本的なところから出発し、日常生活にも馴染みのあるテーマをできる限り取り上げたいと思います。 
身近な話題や裁判例を採り上げて具体的に検討しますので、それらを通じて知的財産法、独占禁止法を中心とした基本的な法解釈論を学習し、法的思考(リーガルマインド)の素養を習得して下さい。
授業の到達目標
【前期】
知的財産法制度の基礎的な諸概念および知的財産各法の具体的な法律要件・法律効果を理解する。 
判例を通じて知的財産法分野の具体的な解釈事例に興味を持つ。 
知的財産分野における法的思考の素養を習得して、事案に関する判断能力を養う。
【後期】
独占禁止法、景表法、下請法の基礎知識の習得
具体的な事例を見て、その事例について、どのような点が法律上問題になってくるのか、理解し判断できる能力を養う。
授業計画
【前  期】
 
1 「知的」な「財産」って何?パソコンは知的財産の見本市! 
  ~知的財産権総論、各知的財産法制度について~ 
2 「新しい会計処理の方法」は特許になるか?先に製品化はダメ! 
  ~特許となる発明、特許の要件~ 
3 対価は200億円!? 
  ~職務発明~ 
4 特許で守られる発明の範囲は?書いてなければOK?書いてあってもダメ? 
  ~均等論、禁反言、権利濫用~ 
5 デザインを盗んだら… 
  ~意匠、不正競争防止法~ 
6 「巨峰」は商標登録できるか?「トヨタ」は商標登録できるか? 
  ~商標と商標権~ 
7 「UNITED/ユナイテッド」と「United Sports」は似ているか? 
  ~商標権の効力・類否の判断~ 
8 ホテル「シャネル」は?ドメイン「jaccs.co.jp」は? 
  ~著名表示の保護~ 
9 「博多人形」は著作物?「サザエさん」は?「ぁ」は? 
  ~応用美術、キャラクター、タイプフェイス~ 
10 パロディは違法か?中古ゲームソフトの販売は? 
  ~著作者人格権と著作権~ 
11 音楽CDの権利関係はどうなっているか?電子ファイル交換サービスの問題 
  ~著作隣接権、インターネットと著作権、私的利用~ 
12 「原価特売セール!」はできるのか?「特許権侵害」警告の問題点 
  ~営業秘密、不正競争防止法~ 
13 あの発明、あの商標、あのデザインを使いたい! 
  ~知的財産権の利用、実施許諾契約・ライセンス契約~ 
14 知的財産をめぐる国際状況 
15 統括(知財をめぐる最近のトピックス)


【後  期】
 
1 独占禁止法と私たちの暮らし 
2 独占禁止法総論(全体的流れ) 
3 私的独占の禁止(排除型私的独占の4類型)
4 不当な取引制限の禁止(カルテル、談合)
5 私的独占の禁止、不当な取引制限の禁止のまとめ
6 不公正な取引方法の禁止(総論)
7 不公正な取引方法の禁止 各論①取引拒絶
8             各論②差別対価
9             各論③不当廉売
10             各論④再販売価格の拘束
11             各論⑤優越的地位の濫用
12 下請法
13 景表法
14 不公正な取引方法の禁止(まとめ)
15 統括
成績評価基準
【前期】
①知的財産法制度の意義・概念を正確に理解しているか。 
②各知的財産法の法律要件・法律効果に関する正確な知識を身につけているか。 
③裁判所の判例について、事案の概要、争点、裁判所の判断を指摘することができ、加えてその評価を展開することができるか。 
④知的財産に関する事例についての問題分析を通じて法的思考の素養が身についているか。
【後期】
独占禁止法、景表法、下請法の基礎知識を習得しているか。
成績評価方法
【前期】
定期試験 
授業中の課題
【後期】
原則として後期に行われる試験により評価します。(試験については授業の中で説明します。)
教材

種別 著者 書名 出版社 出版年
参考文献 厚谷襄児・稗貫俊文編 独禁法審決・判例百選(第6版) 有斐閣(別冊ジュリストNo.161) 2002
【前期】
知的財産法ではテキストレベルでの教材は使用しない。参考文献としての教材は授業開始時に紹介する。 
ほぼ毎回、必要な教材をプリントとして配布する。

【後期】
基本的にはレジュメを配布する。
学習上の留意点
 実務家が担当する講義なので、原則として具体的事案を元に法律の理解を深める方法を採ります。 
 事前の準備として、教科書の該当部分を読んで講義に臨んでいただきたい。また、理解を深めるために、講義後に講義で取り上げた事案の判例等を一読しておくことが望ましい。 
 他の法学系科目を履修しているか否かは特に問いません。知的財産に関する新聞記事には目を通しておくこと。
授業準備
知的財産法の掲載されている六法を持っている方は持参してください。